わたしの小説新潮日記

小説新潮の感想を中心としたブログです

三羽省吾「ヘダップ!」(新連載)小説新潮2015年4月号

 今月号は新連載が3作ありました。そのうちの3作目がこの作品です。3作ともジャンルが全く違うところが総合小説雑誌の楽しみです。(他の2作については、以下に感想を書きましたので、よろしければご参照ください。) 

 さて、本作品の主人公は桐山勇18歳。家族構成は3歳年上の姉・美緒と父親の3人暮らし。母親は勇が9歳の時に亡くなっています。美緒が母親代わりに今日まで家事を切り盛りしてきた設定です。しかし書きぶりにジメジメしたところは微塵もありません。あくまで爽やかです。 

 物語は、勇が北関東(群馬県あたりを想定か)の高校を卒業して、いよいよ社会人として独り立ちの朝の場面から物語が始まりました。いいですね、こういう設定。ウキウキします。ただし、勇が向かうのは、JFL(日本フットボールリーグ)所属の「武山FC」というサッカーのクラブチームです。名古屋で在来線に乗り換え1時間ほどのところにあります。18歳の勇が家を離れ、電車を乗り継ぎ、たどり着く場面は共感しますね。私はこういう設定は大好きです。 

 この後は、武山FCとの契約に至るまでの出来事が描かれ、初日にチームに合流して挨拶代りに練習に参加し始めたところで第1話が終わります。第2話以降は、サッカーの戦術に関する記述も出てくるのでしょうか。もしそうだとしたら、テレビで(日本代表の時しか観ませんが)サッカーを観る時の幅が拡がりますね。 

 若い人が成長し活躍する姿を優しい文体で素直に描く青春小説は好みです。つい応援したくなってしまいます。今後に期待です。