わたしの小説新潮日記

小説新潮の感想を中心としたブログです

伊吹有喜「カンパニー」(新連載)小説新潮2015年4月号

 今月号は新連載が3作ありました。そのうちの2作目がこの作品です。典型的なサラリーマン小説です。

 物語の主人公は、青柳誠一(あおやぎせいいち)。43歳。大卒。同郷の先輩(脇坂栄一)を頼りに有明製薬に入社して20年目の正社員。同期入社の妻・悦子と職場結婚し、妻は結婚退職。1人娘・陽奈は私立中学生。府中市(東京都)でマンション住まい。車所有。

 青柳のスペックを列挙すれば、以上のように標準的なサラリーマンです。しかし、ある日突然、妻は別居し、離婚を告げられ、訳が分からないままマンションでの1人暮らしとなります。 

 一方、会社では、今では将来の社長候補となった脇坂から「キャリア創造支援室」への異動が進んでいることを告げられます。キャリア創造支援室とは一時期話題になった“リストラ部屋”です。青柳の社内の評価は、「そつなく仕事はこなすがそれ以上でもそれ以下でもない、いくらでも替えが利く人材」とのことです。 

 会社は「有明フーズ&ファーマシューティカルズ」と社名変更し、新たな事業展開を考えています。そこで、コーポレート・アイデンティティの一環として世界的なバレエダンサーである高野悠をイメージキャラクターにしたキャンペーンを計画しています。 

 青柳の仲人でもある脇坂は、青柳にキャリア創造支援室行きの代わりに、そのキャンペーン事業を遂行するための敷島バレエ団への出向を提案します。高野と会社とバレエ団を調整し、高野を客演としたバレエ公演を成功させることが任務です。公演が成功すれば脇坂のもとに復職でき、成功しなければ戻るところはないことを告げられます。 

 いよいよ、青柳の崖っぷちの職場人生が始まります。高野の宿泊しているホテルの部屋に向かうと半裸の高野がベッドにうつぶせになっていて、「腰をやってしまった」と、動けずにいます。さてさて、どうなりますことやら・・・。 

 青柳のようなサラリーマンはどこにでもいそうですね。家に帰れば「疲れている」と妻との会話もないと記されています。40歳になった妻が自分の人生これで良いのかと数年前から自問するようになり別居決行になったとしています。 

 電車に乗っていると、ズボンのベルトがヨレヨレだったり、カバンが異様にくたびれている人がいますね。中年になって、髪が薄くなったり、お腹が出てくるのは仕方のないことですが、その分、身だしなみでフォローしないといけませんね。適度なおしゃれは心を豊かにし、会話を楽しめるゆとりが生まれるように思います。お互い心配りをしたいものです。