わたしの小説新潮日記

小説新潮の感想を中心としたブログです

逢坂剛「鏡影劇場」(新連載)小説新潮2015年4月号

 今月号は新連載が3作ありました。はじめに本作品を取り上げ、来月号以降の備忘録を兼ねて簡単に登場人物やストーリーを描き留めておきます。 

 この作品は、編集者である「逢坂剛」にもとに本間鋭太という投稿者から「鏡影劇場」(きょうえいげきじょう)という作品が寄せられ、「逢坂剛」は、この作品に感銘を受けて単行本化したという設定です。作品そのものが、単行本の構成になっています。そのため、最初に、「編者識語」として出版に至った経緯がまえがきとして綴られています。そのあとに、本編である「鏡影劇場」のプロローグが続きます。 

 物語の場所はマドリード。主人公の人称や固有名詞の特定はありません。ほとんど主語がない状態です。ただ、日本人でギターの留学生のようです。 

 主人公のギターの先生は、ビセンテ・サグレラスといい、マドリード王立音楽院の元ギター教授です。主人公の人物は、サグレラスが愛用していたドミンゴエステソ作のギターをやっとの思いでサグレラスから譲り受けたばかりです。ドミンゴエステソのギターは1921年制作のフラメンコギターです。 

 主人公の人物は、サグレラスからもう一度、エステソのギターを弾かせてほしいと懇願され、留学の最終日にサグレラスの家に向かう途中で、路地裏の古書店でフェルナンド・ソル作曲の「モーツァルト魔笛の主題による変奏曲」の手書き楽譜と何やらの書きつけを見つけます。手書き楽譜には写譜にあたって手が加えられていて、未発見版ともいえる代物でした。主人公の人物はサグレラスの家に着き、2人は書き手が誰なのか興奮しているところで第1話が終わります。 

 因みに、フェルナンド・ソルは、1778年バルセロナ生まれのギタリストで作曲家です。ギター界では巨匠とのことです。また、モーツァルト魔笛の主題による変奏曲は、古典ギターの定番の名曲だそうです。 

 この先、どんな展開になるのかわかりませんが、19世紀のマドリードバルセロナが舞台になりそうなことや、ギター音楽が主題であることなど、私がほとんど知らない世界の物語が始まります。今後の展開が楽しみです。