わたしの小説新潮日記

小説新潮の感想を中心としたブログです

山本一力「マックでよい」小説新潮2014年11月号

 この作品は2014年4月号から同年11月号まで、途中1回の休載を経て7回連載されました。

 物語は、1848(嘉永元)年、佐渡島沖で捕鯨の最中の場面から始まりました。捕鯨しているのはアメリカ船籍の捕鯨船です。この書き出しをみて「ジョン・マン」(講談社刊)の姉妹編であろうと一気に親近感がわいたものです。

 主人公の名はマクドナルドで捕鯨船の水夫です。作品はマクドナルドが捕鯨船を離れ、漂流民として日本上陸を果たすまでを描いたものです。

 しかし、上陸して何をしたかったのかが結局わからないまま終わってしまいました。どうしても日本が観たかったという好奇心が密航の理由なのでしょうか。時に好奇心の追求のために命を掛けた先達はたくさんいますが、マクドナルドの密航が命がけの観光が目的だとするには、書き込みが不足しているように思いました。それとも、幕末の日本の風景を密航者の目で描くことが主題だったのでしょうか。単行本で読むと違った印象があるのかもしれませんが、作者はどこに作品の山場を持っていきたかったのか今一つ理解できないまま終わってしまった感があります。

 今月号では、作品扉頁には最終回の文字がありますが、目次表記や「編集部から」の連絡事項欄には最終回の告知がありません。しかし、文中では、最後に「ユー・メイ・コール・ミー・マック」(マックでよい)と告げて終わっています。また文末に「(マックでよい・了)」とありますのでほぼ終了なのだと思いますが、編集上のミスなのか、何とも尻切れトンボ状態の終わり方で後味の悪い作品となってしまいました。

 思えば、本誌に連載していた前作の「べんけい飛脚」も前半と後半がほとんど別の作品のような構成で今一つ好きになれませんでしたが、今、「べんけい飛脚」は単行本化していますので、それなりにリライトしてあるのでしょうか。

 前作も今作も何となく編集者と作者がうまくいっていない印象をもってしまいましたが、思い過ごしでしょうか。