わたしの小説新潮日記

小説新潮の感想を中心としたブログです

知念実希人「閃光の中へ 統括診断部の事件カルテ」小説新潮2014年6月号

 この作品は、昨年(2013年)6月号の医療小説特集で掲載された「泡 統括診断部の事件カルテ」、2014年2月号のミステリー小説特集で掲載された「甘い毒 統括診断部の事件カルテ」と続き、今回の作品とつながりました。こちらも連作になりました。 

 このシリーズは、一応は医療小説の体裁をとっていますが、ミステリー小説でもあり、ユーモア小説でもあります。 

 3回の作品の医療との関連のポイントを記録しておきます。第1作目の「泡」は窃盗犯を潜水病と見破り犯人逮捕につなげたストーリーでした。第2作目の「甘い毒」はコーラを常飲するようになった巨漢の運転手が運転中に意識を失い、農薬混入と騒ぎ立てますが、娘が父親を心配するあまりダイエットコーラにすり替えたことで、低血糖による意識障害となったと見破る展開です。そして、今回の作品は、「呪いの動画」をみて電車に飛び込み自殺未遂を起こしたとされる女子高校生が実は、強い光源をみて駅でてんかん発作を起こしただけだと見破る展開です。

 

 次回の作品を読むときのために登場人物を整理しておきます。

天久鷹央(あめく たかお)

 東京都東久留米市に拠点を置く天医会総合病院統括診断部部長。27歳。女性。超人的な天才医師。ただし場の空気が読めない。人付き合いが苦手。父親は天医会理事長。風貌は中学生くらいの童顔。

 鷹央は知能指数を測ったら優に200は超えるでしょうけれど、性格検査をしたら、相当に特異なスコアが出るでしょうね。ほとんど発達障害状態です。

 

小鳥遊優(たかなし ゆう)

 鷹央の部下。鷹央より2歳年上。身長180cm超。医師。大学時代は空手部。鷹央からは小鳥(ことり)と呼ばれてこき使われている。

 

 鷹央は奇病、時には難問を次々に解決していきます。その時に鷹央にバカ医者扱いをされてしまうのが各診療科の部長医師です。各回に院内の各診療科の医師が出てきますが、今のところ、登場人物はこの2人を押さえておけば構図で迷うことはありません。 

 ただし、今回の作品では、鷹央の姉・天久真鶴(あめく まづる)天医会総合病院事務長の名前が出てきます。鷹央は真鶴を畏れているようです。 

 しかし、小説ですから今後どんな展開も可能です。真鶴も加わり、鷹央をあたふたさせるのでしょうか。理事長の父親が出てきてもいいですね。鷹央の幼少期のハチャメチャぶりも描けそうです。鷹央の今の姿は“世を忍ぶ仮の姿”という展開でもいいですね。これだから小説は楽しいです。次作が待ち遠しいですね。