わたしの小説新潮日記

小説新潮の感想を中心としたブログです

新城カズマ「島津戦記」小説新潮2013年7月号

 今月は連載、特集の読み切りの全作品をランキングしました。連載以外の特集作品にも読み切り連作や、事実上の不定期連載作品が多数収録されていますので、あえて全作品としました。

 

 「暗幕のゲルニカ」(原田マハ)と「人事 隠蔽捜査外伝」(今野敏)は先に感想を書きましたので、よろしければ以前のページをご覧ください。今回は、恐縮ですが、好みから外れた作品について言及します。

 

「島津戦記」 新城カズマ

 この作品は、何となく毎回作品の構図がつかみきれません。時代設定は、鉄砲伝来の前年(1542年)から始まり、歴史小説では最もメジャーな安土桃山時代です。最初の頃は、イスラムらしき方面からの流浪の王女一行やピントという南蛮商人が登場して広がりを感じましたが、最近の号では、島津家の兄弟の覇権争いに発展しそうですが、何ともつかみどころがありません。藤堂高虎がかつて王女を護衛していた僧侶の子らしいという設定や浅井長政の妻女・お市の方の胸に不思議な文様のあざが浮き出るなど、王女の流れを汲む謎が時々話題に出てきますが、島津家との関係など、今のところどのように収斂するのかまとまりが感じられません。時々休載が入ることもあり、つかみどころがない印象です。

 

 それから、挿絵(さしえ)が劇画調なのも私の好みを遠ざけている要因です。こればかりは一個人の好みの問題ですので、ご免なさいとしか言いようがありません。ただ、挿絵は作品の印象を左右しますので結構重要です。これまでも挿絵が好きになれなくて作品まで敬遠したことが何作もあったのは事実です。

 

「星夜航行」 飯嶋和一

 この作品は、私が再読するようになる以前のたぶん2009年10月号から始まっていると思います。今月号で、すでに46回連載されています。私は2010年1月号の第4話から読んでいます。最初から読んでいないことが親近感が湧かない一番の要因と理解していますが、やはり連載が長すぎるように思います。最近の号では、秀吉の朝鮮出兵の事実と思しき事柄の羅列が多く、小説としてのストーリーが希薄な印象です。

 

 それではランキングです。いつものようにA群は好みの作品群です。B群も嫌いではありません。C群はどちらかというと好みから外れた作品です。

 

A群

1位 「イノセント・デイズ」 早見和真

2位 「蛍の森」 石井光太

3位 「暗幕のゲルニカ」 原田マハ(新連載)

4位 「人事 隠蔽捜査外伝」 今野敏

5位 「冬を待つ城」 安部龍太郎

6位 「アシタ、デキル?」 山本幸久

7位 「マテリアル・ライフ」 仙川環

8位 「波止場にて」 野中柊

9位 「水曜日の凱歌」 乃南アサ

10位 「イン・ザ・ムーンライト」 乙川優三郎(新連載)

 

B群

11位 「月光の誘惑」 赤川次郎

12位 「持てないバケツⅤ 名前のない古道具屋の夜」 柴田よしき

13位 「私家本 椿説弓張月」 平岩弓枝

14位 「べんけい飛脚」 山本一力

15位 「メイド・イン・ジャパン 君たちに明日はないPART5」 垣根涼介

16位 「真夏の薄荷糖」 窪美澄

17位 「生死の分水嶺陸羽東線」 西村京太郎

18位 「顔も見たくないのに」 荻原浩

19位 「抱く女」 桐野夏生

20位 「傲慢な婚活」 嶽本野ばら

21位 「天神様が寝てござる みとや・お瑛仕入帳」 梶よう子

22位 「泥つき大根 善人長屋」 西條奈加

23位 「風笑の居士」 宇月原晴明

24位 「約定」 青山文平

 

C群

25位 「島津戦記」 新城カズマ

26位 「星夜航行」 飯嶋和一