わたしの小説新潮日記

小説新潮の感想を中心としたブログです

井上荒野「ほろびぬ姫」小説新潮2012年1月号

 この作品は、双子の兄と結婚した「私」が夫を呼ぶ場合の呼称としての「あなた」と夫の入院を機に夫が呼び寄せた弟を2人称として呼ぶ場合の「あなた」を意図的に一緒に使っています。そのため、流し読みしていると、今はどちらの兄弟に向かって話をしているのかが分からなくなってしまいます。瓜二つの双子の兄弟の見分けのつきにくさと2つの意味がある呼称としての「あなた」を混在させ、読者を幻惑させる手法をとっています。 

 どちらかというと小説雑誌の読者向けには悪趣味と感じてしまい、私はあまり好きな作品ではありません。