わたしの小説新潮日記

小説新潮の感想を中心としたブログです

本多孝好「魔術師の視線」(第7回)小説新潮2012年1月号

 昨年11月号あたりから俄然、小説新潮が充実していると思います。12月号からは4作の連載が始まり、今月号は2作新連載が始まっています。最近の新連載には手に汗握る緊迫感のある作品が多く、次回作が待ち遠しくなる作品ばかりです。 

 今月号も私の好みの順にランキングしてみます。A~Cの群間には好みの程度に差がありますが、A群中の順位には差はほとんどないに等しい感覚です。 

 A群はかなり好きな作品群です。B群も嫌いではありません。ただ、久々の復刊(「べんけい飛脚」)やあまりにも短編(「月光の誘惑」)、韓国人や中国人の名前を日本語読みのルビをふっていて興ざめな「星夜航行」はA群には入れにくい作品としてB群にしました。C群は好みから外れた作品群です。

 

A群

1位 「魔術師の視線」 本多孝好

2位 「赤猫異聞」 浅田次郎

3位 「春風伝―高杉晋作萩花の詩」 葉室麒

4位 「脊梁山脈」 乙川優三郎(新連載)

5位 「沈黙の代償」 真山仁(連載2回目)

6位 「海峡の絆」 熊谷達也

7位 「冬芽の人」 大沢在昌

8位 「風屋敷の告白・還暦探偵」 藤田宜永

9位 「キアズマ」 近藤史恵(連載2回目)

10位 「神様が降りてくる」 白川道

11位 「貯められない小銭Ⅳ 名前のない古道具屋の夜」 柴田よしき

12位 「リカーシブル」 米澤穂信(連載2回目)

13位 「サンカーラ―この世の断片をたぐり寄せて」 田口ランディ(連載2回目)

14位 「Hidden times」 坂東眞砂子

 

B群

15位 「べんけい飛脚」 山本一力

16位 「月光の誘惑」 赤川次郎

17位 「星夜航行」 飯嶋和一

 

C群

18位 「ほろびぬ姫」 井上荒野

19位 「ろくでなしの船箪笥 しゃばけ」 畠中恵(新連載)

 

(展開が俄然面白くなってきた作品)

「魔術師の視点」 本多孝好

 これまでは礼(れい)のトリックが暴露されて礼の一家が離散するなど、礼の不幸な状況が中心でした。しかし、最近の号では礼の実質的な未成年後見人のような役回りをしていたミチルこそが何者かに狙われている展開になっています。礼のか弱いイメージが一転して魔術師として機転の利く少女に変身し、生き生きと描かれています。この対比が際立っていて新鮮です。今後の展開に目が離せません。

 

(その2)に続きます。