わたしの小説新潮日記

小説新潮の感想を中心としたブログです

小説新潮2011年4月号わたしのお好みランキング(第1部)

 小説新潮2011年4月号は小説が27作品収録されていました。特集と連載・連作の2回に分けて、全作品の好みをランキングします。

第1部(特集の部)

A群

1位 「おなご道 蓬莱屋帳外控」 志水辰夫

2位 「白暁 お鳥見女房」 諸田玲子

3位 「春の幽霊」 西條奈加

B群

4位 「始まりの綾部」 田牧大和

5位 「春告鳥 小石川診療所余話」 安住洋子(最終話)

6位 「冥土の茶席 井戸茶碗『柴田』由来記」 加藤廣

7位 「持ち逃げ有楽」 新城カズマ

(説明)

 A群は好みが比較的強い作品です。B群は理解が追いつかない作品や好みから外れる作品群です。

 「おなご道 蓬莱屋帳外控」(志水辰夫)はすでに感想を書いていますのでそちらをご覧ください。

 「白暁 お鳥見女房」(諸田玲子)は不定期の読切連作です。いよいよ新たな展開になってきました。久太郎の命の恩人である漁師の娘・波矢の動向が不穏になってきました。今後に目が離せません。

 「春の幽霊」(西條奈加)も不定期の読切連作です。こちらも新たな展開です。第1話の冒頭で行方知れずとなっていたお軽が第5話目でようやく登場してきました。八十八朗(やそはちろう)の正体も何となく姿が明らかになりつつあります。

 「小石川診療所余話」(安住洋子)はこれまでも贔屓の作品でした。最終話で医師高橋淳之介がなぜ高橋家の養子になったのか、実父がなぜ切腹をしたのかが明らかになりました。最後は高橋が小石川診療所を辞めて、蘭学を学ぶために長崎に行く決心をする所で終わります。しかし、ここでお瑛を誘う場面はやや理解に苦しみました。看護中間の伊佐次を誘い、次にお瑛を誘っていますので、お瑛に対するプロポーズということはあり得ないと思うのですが、状況からはプロポーズのようでもあり、作者の真意が読み取れませんでした。わたしの読後感に春告鳥は来ませんでした。

 「持ち逃げ有楽」(新城カズマ)のような小説は何というジャンルの小説なのでしょうか。物語は織田信長の弟、織田長益(有楽斎)が本能寺の変を脱出して三法師のいる岐阜城に向かうまでの心情を論証を交えて描いています。ただ、全体的にストーリーが抽象的で、流し読み中心の読書スタイルからはストレスがあります。

(第2部につづきます)