わたしの小説新潮日記

小説新潮の感想を中心としたブログです

蜂谷涼「鬼の捨て子」小説新潮2011年4月号

 今月号から新連載が3編始まりました。やはり、連載物は最初から読まないと何となく落ち着かないものです。そこで、今回は新連載の作品の感想を2回に分けて書きます。 

「春風伝―高杉晋作萩花の詩」(しゅうかのうた) 葉室麟

 この作品は題名のとおり高杉晋作を主人公にした作品です。第1話は少年時代の高杉晋作を描いています。何とも魅力的な連載が始まったものです。今後が大いに楽しみです。

 

「鬼の捨て子」 蜂谷涼

 この作品は「種痘の普及に情熱を燃やす医者・柳原玄齋(げんさい)と玄齋に翻弄される2人の女、沙穂(さほ)と千草の運命の流転を描く大型連載」とのキャプションが付いて始まりました。 

 玄齋の知識欲と性欲が怪物級に描かれています。妻・千草の外泊中に妻の姪で同居する未亡人・沙穂と一晩に何回も性行為を行います。しかし就寝するときは律儀に妻が外泊中でも主寝室に戻ります。また妻にも沙穂と性行為を行ったことを翌日には伝えているのです。妻・千草の性に関する合理的な割り切り方といい、性の規範が現代とは違う設定なのかも知れません。島流しにあった罪人でも島の未亡人との性交渉は黙認されていたとの話を以前、八丈島で聞いたことがあります。 

 ともあれ、現代人の私には嫌悪感の方が先行してしまうのですが、総合小説雑誌の魅力は幅広いジャンルの小説を気軽に読めることだと思いますので、今後とも拝見させていただきます。どうぞ、作者のイマジネーションの赴くままに物語を展開してください。