わたしの小説新潮日記

小説新潮の感想を中心としたブログです

山本文緒「菓子苑」小説新潮2011年1月号

 「胡桃(くるみ)」と同居しそうになる「私(舞子)」は、中学校の同級生なのか?何なのか?正体不明のまま読み続けました。胡桃は癇癪を起すと物を投げつけるなど感情の起伏が激しく不安定です。そのことに付き合う「私」がますます正体不明となっていきます。堅い読者なら「私」が胡桃の母親であることに早い段階で察しがついたのかもしれませんが、私(当ブロガーの私のことです)にはわかりませんでした。 

 胡桃はできちゃった結婚をすることになります。先方の両親は喜んでいるようでしたが、「私」の心境は複雑なまま物語は終わります。「私」が「あんまり嬉しそうじゃない」のは自分もできちゃった結婚で胡桃を産み、離婚し、未だに胡桃のことで心労が絶えない自分を顧み、胡桃も同じ苦労をすることが見えるからでしょう。 

 私の読後感も満たされないまま終わってしまいました。私の満たされない読後感は、胡桃がほぼ確実にわが子の虐待に走りそうな性癖で描かれているからです。 

 また、この作品の題名はなぜ「菓子苑」なのか、菓子苑につながる記述はどこにもないように思いました。