わたしの小説新潮日記

小説新潮の感想を中心としたブログです

曽野綾子「無口」小説新潮2011年1月号

 プロローグでは、近所にできた円藤デンタル・クリニックに通院することになった「私」が円藤医師からアフリカのコンゴの話を聞かされることから始まります。話は医学生時代に行き詰りコンゴに逃避行した時のことです。

 その後、物語はコンゴでのエボラ出血熱患者に生死を賭けて壮絶に看護する修道女の話が中心となります。この話題には緊迫感があり圧倒されました。しかし、読後の感想は冷めてしまいました。作品からは円藤医師の無口は感じられませんでしたので、なぜ、題名を「無口」としたのか理解できませんでした。また、円藤デンタル・クリニックを冒頭に持ってこなくても十分小説として迫力があったように思いますので、円藤デンタル・クリニックをプロローグに持ってくる必然性がわかりませんでした。