わたしの小説新潮日記

小説新潮の感想を中心としたブログです

原田マハ「夢をみた」(第4回)小説新潮2010年12月号

 この作品は2010年9月号からスタートした連載小説です。主人公の早川織絵はキュレーターという美術館の学芸員です。第1話は大原美術館倉敷市)で監視員をしている織絵の2000年現在の描写からはじまります。2000年現在の織絵は43歳です。 

 織絵は15年前(28歳)に未婚ながら一人娘を身ごもりフランスから両親のいる倉敷の実家に戻ってきました。実家の父親は大手商社のフランス支社長をしていた設定ですから、かなり裕福で知的な扱いを近所でも受けていたのでしょう。帰国後の織絵は西洋人との未婚の母となり、地方でそれなりに居づらい雰囲気の中で生活しながらも、歳月を重ねる中で普通の中年女性として過ごしている設定です。 

 一方で、織絵はパリで26歳で美術史の博士号を取得し彗星のごとく現れた東洋人のアンリルソー研究者としての隠れた経歴を持っていました。 

 物語は1983年まで遡ります。織絵26歳です。26歳の織絵はカミソリのような新進気鋭の研究者として描かれています。2000年現在で人生の辛苦をそれなりに乗り越えてきている43歳の普通の中年女性としての描かれ方といかにも気鋭の研究者としての描かれ方の対比が鮮明で感嘆します。 

 今後の展開で興味をそそる点を上げます。 

 1つは、織絵が身ごもった相手の西洋人男性はそもそも誰なのか?無関係でも小説としての価値は変わらないのですがやはり気になるところです。ニューヨーク近代美術館MoMA)のチーフキュレーター(学芸部長・実は偽者なのですが)ティム・W・ブラウンと今後の展開で恋に陥るというのが常道的な展開ですが、相手はだれでしょうか? 

 2つは、2000年現在のニューヨーク近代美術館MoMA)のチーフキュレーター、ティム・W・ブラウンはいつからトム・ブラウンに代わって同館のチーフキュレーターになっているでしょうか?