わたしの小説新潮日記

小説新潮の感想を中心としたブログです

重松清「サンタの寄り道」小説新潮2010年10月号

 子どもを主人公に描いた作品好きの私にはたまらない作品です。この作品は「かわいげ」という重松清の連作の第5話です。

 そもそも「かわいげ」は、死別した母親への傷心を抱く小4の少女フミを主人公いして、フミの父親と再婚した新しい母親とその連れ子の義妹マキとの新しい家族の出来事を描いた作品です。ポニーテールやお墓参りなどをモチーフにして不定期で連載し、それぞれの登場人物の微妙な感情の表出を描いています。作者は傷心のフミやマキを暖かく包み込んで逸脱させたり破綻させるようなことはしません。

 今回の作品は亡くなった母親が天国から見つめる視点でフミや新しい家族の抑制された感情と他者への思いやりを描き、それぞれのこれからの行く末を願って終結へと向かいます。毎回のことですが、母親を失ったフミの心情に同情を禁じ得ない展開です。

 しかし、私の涙腺は決壊寸前で止まってしまいました。それは、作品の展開が上手すぎ(出来すぎ)ることと、過去の連作を含めて登場する子どもたちがいずれも分別がありすぎて、大人びていることへの違和感を感じてしまったからだと思います。