わたしの小説新潮日記

小説新潮の感想を中心としたブログです

川島誠「はじめての夏」小説新潮2010年10月号

 今月号は、青春小説特集です。ただし、「大人のための」という枕詞がつきます。また、「あの頃を遠く離れて」との副題がつきました。作品には、青春小説とは言い難い作品と編集者の意図に沿った作品が混在していると感じました。編集者は出稿された作品をみて知恵を絞ってこのような副題を命名したのではないかと想像しました。すなわち、「あの頃を遠く離れて」には2つの意味が含んでいると感じました。1つはそのまま時間的に過去のことを指していること。2つめの意味は、要するに「あの頃」の青春小説とは「遠く離れて」現代の青春小説も収録している、という意味を持たせたと考えました。曲解でしょうか。

 

 以下、収録順に全作品を6回に分けて感想を載せます。

 

「はじめての夏」 川島誠

 青春小説ときて「はじめての夏」とくれば、ふつうは初々しい恋や性愛を想像しますが、この作品はミステリー小説の部類だと思いました。高校生が主人公の現代の青春小説だと理屈付けることも可能かもしれませんが、およそ青春小説とは程遠い印象です。一般的に高校生が両親を殺害するストーリーが青春小説とするのは無理だと思います。