わたしの小説新潮日記

小説新潮の感想を中心としたブログです

荻原浩「上海租界の魔術師」小説新潮2010年7月号

 若かりし頃、上海でマジシャンをしていた祖父が93歳で亡くなったところから物語は始まります。

 物語は、祖父が同居するようになった10年前にさかのぼり、語りは当時小学3年生(9歳?)だったかなめの回想で展開されます。上海時代のマジシャンとしての栄光と恋の追想と、居候となった83歳当時の祖父が小3のかなめに見せる古びたマジックの交錯が絶妙です。その中でも特に実母を幼稚園の年中組(4歳?)の時に亡くしているかなめにマジックで実母を映し出して見せる場面は胸が熱くなりました。中学で不登校になるかなめが祖父のマジックを覚え、葬儀で上海時代の祖父の栄光と恋の一端を映し出して物語は終わります。

 私は子どもの視点で作られている作品はだいたい好きです。