わたしの小説新潮日記

小説新潮の感想を中心としたブログです

宮木あや子「ガラシャ」(最終回)小説新潮2010年7月号

ガラシャ」 宮木あや子

 

 ガラシャは2010年1月号から7月号まで7か月間連載されました。ガラシャをここまで狂女に仕立てた作品があったでしょうか。物語はガラシャに瓜二つの侍女・糸(いと)の視点を中心に展開しました。ただ、糸の心情は唯一、興元(忠興の弟・妻あり)への淡い好意として抑制的に描かれるのみです。大半は、有能な侍女(現代で言えば秘書のような扱い)として職務を全うし、壮絶な身代わり自害のうえ生涯を閉じるという寂しい扱い方となっています。 

 6月号でガラシャは死にました。ここで完結しませんでしたので、7月号はどうなるのか不思議に思っていましたが、幽斎(忠興の父・藤孝)の回想で物語を閉じています。通読すれば、不自然ではないかもしれませんが、7月号の回想は別の小説のように思えました。しかし、回想の展開は充実しており、読み応えがありました。