わたしの小説新潮日記

小説新潮の感想を中心としたブログです

西加奈子「白い徴(しるし)」小説新潮2010年6月号

 2010年6月号はいわゆる官能小説特集でした。官能類似の作品もいくつか掲載されていましたので、2作品ほど感想を2回に分けて書きます。

 

「白い徴(しるし)」 西加奈子

 3回の連載が終わました。何とも後味の悪い小説でした。主人公の女は白い富士山の絵に魅せられてしまいます。白い富士山の絵からその画家にも魅せられてしまいます。以降、全編を通じ、その女の微熱状態の中で物語はすすみます。最終回では女が気軽に相談できる男がマンションの一室に20匹も猫を偏愛していることや、白い絵の具を思わせる空虚感のあるその画家の恋人が妹だったこと、女がその画家の部屋に忍び込み、白い絵の具を盗み富士山を見に行く狂女化した結末など、異常世界の連続で物語は終わります。こういう小説はできれば読みたくないものです。